酒見氏の初めての(?)歴史エッセイ。
ファンはもちろん買いだが、氏の小説のことを話題にしているわけでもないから、読んだことのない人にとっても十分楽しめるだろう。
著者自身あとがきで書いているが、えらくバランスの悪い本ではある。
「劉備」「関羽」から始まり、人物評が続くのかと思いきや、仙人や易などだんだん具体的な人物から離れていき、最後の中国拳法についての記述がやたらと長い(でも面白い)。
まさに雑感という感じではあるが、ぐいぐい引き込まれる文章だ。
関羽がなぜか最高神になってしまう過程。
易というものの、あやしい魅力。
そして中国拳法関係の、なんだかマンガみたいなエピソードたち。
小説において、中国史を独創的に料理してみせる著者。
その背景に広範で奥深い中国文化への理解があることは小説を読むだけで十分わかるが、その真髄の一端に触れた気持ちだ。
それにしても、酒見氏の次の作品は、清末あたりを舞台にした武侠小説か?