日本国内人口の7倍、中国国内人口の70%、約9億人が農業に従事しているという。
本書はその中国農民の(特に安寧省を中心とした)驚くべき実情が赤裸々に描かれている。共産党地方幹部による農民への虐待・搾取は、日本の時代劇に出てくる悪代官でさえ可愛く思えてしまう。そこには血も涙もない悪ばかりだ。
文中に下記のような文章がある
「1990年から2000年のたった10年で、わが国が農民から徴収した税金の総額は、87億9000万元から一気に5.3倍の465億3000万元に急増した。(中略)都市の住民の収入が農民の6倍という状況で、農民が納めた税額は都市の住民の4倍なのである。」
数字は、中国農民の納税実態が徴収というより搾取という表現が的確であることを雄弁に語っている。
本書には多くのページを割いて、現状の事態を打破すべく行われている農業改革の様子を記述しているが、具体的な成果はなんら上がっていない。
改革を行えば当然行政改革となり、公務員を削減すること=共産党員を削減することにつながる。都市の住民が農民の6倍の収入をもっても、共産党が人民を統治するのに都市でろうが農民であろうがそのコストは均一なのだ。その事実一つでも、中国が農業の改革に成功することは実現不可能であろう。
本書は中国の未来を占う上で、欠かすことのできない良書である。
本書を読み終え、天安門事件学生指導者の一人で今は米国に亡命中の王丹氏の言葉を思い出した。
「党の将来と国益のどちらかを選ばなくてはならないとき、共産党(中国)は常に党を選ぶ」