茶館という言葉から連想するのは、老舎の「茶館」という作品でした。老舎の作品では、清朝の末
期から中華人民共和国の成立前夜までが描かれており、庶民の憩いの場であると共に社会の動
きを映す鏡の様な場所と感じておりました。文化大革命によって「茶館」が禁止されたと随分前に
読んだ記憶もあります。台湾でも長い間の戒厳令等により廃れたのではと思っておりました。
この本を読み、経済発展により一層の洗練と同時に大衆化が進んだことを知り、歴史の流れと時
代の変化を、改めて強く「茶館」を通じて感じました。今の中国は、昔日の中国とは全く違う国だと
いうことを。
中国茶についても、その種類の多さと、楽しみ方の日本との違いに驚きました。日本の茶道が、栄
西禅師が中国から伝えた南宋時代当時の抹茶の方法がそのまま残り、茶道として禅の世界にも
似た厳しさを守ったのに対し、中国茶は老荘の世界に通ずる「幽」「閑」「清」「雅」を求め、別の境地
を求めた様です。
著者の一人、周渝氏による老子道徳経の読み下しもありました。「道(どう)は道(あゆ)めるが、常
道にあらず」としており、日本の漢学者よる読み下しに比べ、その自由な読み方に驚きました。日
本人が知る老荘の世界以上のものがあるのかもしれません。