中を捲るとそこには驚愕の事実が・・・中国の臓器移植数は世界2位。
提供される臓器の9割は死刑囚のそれ。豊富なドナーと、経験に積まれた実績を
当てにして世界各国から移植希望者が押し寄せる(移植希望者の都合によって
臓器が用意される=死刑が執行されることもある)。
よってドナー数は多いが、その恩恵に与れるのは特権階級の中国人>外国人>
富裕層の中国人>一般の中国人、という順。移植が金の生る木ということを
知ってしまった病院や死刑を執行する裁判所等、臓器移植が絡む各所で拝金
主義、地縁(コネ)主義がまかり通っている・・・等々。
ただ、問題なのは本書で解き明かされている様に、望まないドナーの臓器が
利用されているのではないか?(中国政府も死刑囚から承諾書を取るように
指導はしているが、実務を行う現場がそれに従っているか・・・という問題が
ある)という点や、技術はあるのにドナーがいないことで移植が出来ず、結果的
に臓器売買の方棒を担いでいる形になっている日本の医療現場なのです。
移植しても、その後については日本の医師に診てもらわないといけないの
ですが、臓器移植法違反で捕まる可能性があるので、表だって診てくれる
医者もまた少ないと。
他にも、一時、オリンピックを控えた中国では国際世論の目を気にして
2006年末に臓器移植は一気に沈静化したが、2008年4月には、また(今まで
あまり行われていなかったとされる)北京でも臓器移植(生体肝移植)が
行われるようになったとか、臓器売買が実質的に合法化されたフィリピンの
状況(但し、2008年4月にフィリピン政府は外国人への臓器移植禁止を打ち
出している)等、海の向こうで行われる臓器移植の実情を暴き出しています。
重い内容ですが、時間を割いて読む価値のある一級のルポものです。