「もしQ」シリーズとして32冊目の作品です。著者の農業問題への関心は、日本農業の現状と将来への憂慮からはじまり、10年前に発刊された「もしQ」シリーズ4冊目の『生きるヒント 生かせるヒント』(2001年)で、「農業こそ変革期に来ています」、「外国に行って農業をやる時代が来ます」と書いています。ここを起点として著者の農業問題への問題意識が深まり、2008年の下半期から「中国は工業化による富裕化のため、将来食糧不足に見舞われることになるのでは」との危機意識が走ります。そして、その克服策を求めて著者は動き出します。本書の連載が始まった2009年4月9日から4月末まで、広い中国大陸の中を駆け巡る著者の行動には凄まじいものがあります。ちなみに『邱永漢の「予見力」』を書いた玉村豊男さんもにこの動きに同行しています。こうした農業問題への意識の推移が示しているように、著者の頭の中には「中国における食糧不足は、わが日本農業に絶好のチャンス」との思いがあります。帯文で「アングルを変えて見ましょう」とも述べています。中国経済の動きに関心を持つ人、日本農業の打開策を求めている人たちにとって必読の書です。(邱永漢思想研究家)