中国現地法人で人材マネジメントを成功させるためには何をしなければならないかを説いた、熱い情熱にあふれたビジネス書である。
中国に進出した日系企業が抱える最大の問題は、何といってもヒトにかかわる問題だ。とくに、現地経営のカギである中国人マネージャーが定着せずに簡単に転職してしまうという深刻な問題である。この問題に悩んでいない日系企業はないといってもいい過ぎではない。
中国人は基本的に個人主義的であり、候補も含めてマネージャー・クラスの人材は、少しでも個人としての実績を評価してくれる企業で働きたい、少しでも自分を成長させてくれる機会を提供してくれる企業で働きたいという、強烈な上昇志向をもっている。「世界標準」で思考し行動する、ある意味ではアメリカのビジネスパーソンみたいなものなのだ。
だから、中国人材のマネジメントは、日本で成功してきた常識はそのままでは通用しないのである。
人事コンサルタントである著者は、現地日系企業に対する豊富なコンサルティング経験のなかから、価値観を徹底的に刷り込む経営で「中国で尊敬される企業」第3位に輝いた、自動車メーカーの広汽ホンダと、2005年に700人の中国人社員が出社拒否をするという非常事態を経験し、この状況を克服するために大改革を行った結果、現在では年率140%の成長を実現するカネボウ化粧品中国の事例を詳細に紹介している。
とくにカネボウの事例では、著者自身による人事コンサルティングの内容が導入プロセスとともに詳しく解説されており、悩める中国現地法人関係者には大いに参考となるはずだ。
本書は、現地法人での中国人材マネジメントにかんするノウハウも随所にちりばめられており、すぐに使える具体的なものも多い。
悩める中国現地法人関係者だけでなく、本社の経営層やグローバルマネジメントを統括する管理部門のスタッフだけでなく、広くビジネス関係者に読むことをすすめたい。