著者は長らくラジオ・TV局で報道に従事された方だという。 一読して論旨明快、説得力のある論考に感心した。私自身の業務上の体験、および多少とも関与している団体に関する部分を幾つか読んで、この本が「本物」であることがわかった。 田中角栄首相が日中国交をした1972年まで、中共の対日ラジオ放送といえば、毎日毎晩の聞くに堪えない罵詈雑言の謀略放送であったが、それが国交回復した途端、掌を返した「日中友好」ムードに変わり、暗雲が晴れたような気持になったのを35年たった今なお昨日のように覚えている。しかし「日中友好」なんて、やらずぶったくりの謀略だったのだ。そのことは、いつの間にかまた「反日が国是」の本性に戻ってしまったことでわかる。「中国の工作に対する最も効果的な対処は『接触しないこと』に尽きる、という著者の見解(p.248)は実に正しい。ルールが違う相手の土俵に乗った瞬間、勝負は自ずから決するのだ。