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中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史
 
 

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史 [単行本]

與那覇 潤
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (39件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

日本の「進歩」は終わったのか──ポスト「3.11」の衝撃の中で、これまで使われてきた「西洋化」・「近代化」・「民主化」の枠組を放棄し、「中国化」「再江戸時代化」という概念をキーワードに、新しいストーリーを描きなおす。ポップにして真摯、大胆にして正統的な、ライブ感あふれる「役に立つ日本史」の誕生!

本書は、現在の日本社会の抱える様々な問題や、今後の中国社会とのつきあい方について考えるきっかけを提供すると同時に、この専門家のあいだではもう常識なのに一般の歴史ファンにはなかなか広まっていかない新しい通史像を、読者のみなさんにわかりやすくお届けすることを目的にしています。(中略) 読み始めていただくにあたっての予備知識は、せいぜい高校レベルの常識的な日本史の知識さえあれば十分(ただし、本書を読み終える頃には、それらの知識が高校までの教科書とはまったく異なるストーリーの上に、配列されていることに気づくはずです)。
――「はじめに 新たな歴史観としての「中国化」」より

内容(「BOOK」データベースより)

日本の「進歩」は終わったのか―ポスト「3・11」の衝撃の中で、これまで使われてきた「西洋化」・「近代化」・「民主化」の枠組みを放棄し、「中国化」「再江戸時代化」という概念をキーワードに、新しいストーリーを描きなおす。ポップにして真摯、大胆にして正統的、ライブ感あふれる、「役に立つ日本史」の誕生。

登録情報

  • 単行本: 320ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2011/11/19)
  • ISBN-10: 4163746900
  • ISBN-13: 978-4163746906
  • 発売日: 2011/11/19
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.2 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (39件のカスタマーレビュー)
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18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Nakane
中国についての本ではないと断りながら、行間に現在の中国に対する礼讃が感じられ、また、民主主義にあまり価値を見出していないと思われる記述もあり、違和感を覚える人はいると思います。しかし、著者の価値観に賛成するか否かに関係なく、その中の知見がどれくらい興味深いかで判断すれば、掛け値なしに非常に面白い本だと思います。

例えば、父系血縁ネットワークが重要な中国ではそれがために人口増加を抑制できずに停滞につながった、日本は江戸初期に食糧不足の解決とともに人口増加も止まった、江戸末期の識字率はそれほど高くなくリテラシーの低い人が低賃金労働者となって工業化を支えてた、などはなかなか興味深いと思います。特に、「産業別ではなく企業別に組織されている日本の労働組合の経営との関係は、藩主と領民の双方が同じ土地に縛られてどちらもほどほどのところで折り合いをつけていた「封建制」の百姓一揆と同じ」という分析は、日本のインフレ率が他の先進国と比較して非常に低く保たれていた背景にある低い賃金コストの上昇率を説明するものではないかと思います。

一方、疑問も残ります。著者は、日本が中国化しなかった理由を科挙試験実施の前提条件であるメディアのインフラ整備、すなわち印刷技術の発達が不十分であったからとしていますが、ではその後に印刷技術が発達しても日本が中国化しなかったのはなぜなのかについてはあまりきちんと説明していません。信長の登場とか、江戸初期の稲作の普及とか間接的な説明がありますが、少なくとも他の中国化している地域・国との比較においてどれも決定的に説明力を持つようには思えません。この辺は、今後の著作でもう少し掘り下げた議論を展開してもらいたいと思います。

あと、参考文献は載せていますが、「・・・・は、歴史学者の常識です」という多用されているフレーズのところにはあまり参考文献や研究が示されていません。これでは「本当に歴史学者の通説なの?」という疑問点の解消が十分にできなく、少し残念です。

必ずしも、著者の価値観に全面的に賛成するわけではありませんし、軽すぎる文体など残念な点もありますが、それでもやはり知的にとても面白さを感じる本であることは確かです。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ちらっとみたテレビの討論番組での興味深い発言ぶりに刺激されて読んでみました。久しぶりに「怪しい」歴史書。「現代」は宋時代の中国ですでに始まっていたのであって、西欧的な「近代」は「現代」に追いつこうとしていたのだとか、日本はそうした「現代」と「江戸時代」の間を右往左往しているヌエ的不可思議な社会になっているとか。要するに政治思想として普遍的な原理を掲げられるかどうかが社会の質を決める、という大きな話です。大きすぎて「怪しい」。

しかもその口調がとつてもなく「怪しい」。「中国」「江戸」など本書のキーワードにはすべて「」がついており、つまり、比喩的な表現が多くて、「あの時代のあれとこの時代のこれは実は同じことなのだ、比喩的には」という感じ。歴史の大きな流れを形式化して類似点を指摘することは、特別なことが現代だけに、私だけに起きているというケチな考え方を持っている人(むやみに危機を叫ぶ人です)への批評的な意味はもちろん大いにありますが(これはとても大切)、しかし、中国化とは普遍的原理や経済的な個人主義のことであり、江戸化とはヌエ的な現状主義や経済的な集団主義のことなのだから、「中国」「江戸」という固有名詞を使い、それに「」をつけて表現せずともよいのでは?わかりやすければよいのだ、意図的に誤解を与えてやれ、という姿勢に見えて仕方がない。それほどのことをしなければ、このような内容を理解させることができないというのが著者が推し量るこの国の民度なのかもしれないけれど。。。その「怪しさ」がおもしろい。

大学入試のために世界史・日本史を勉強した後で本書を読めば、めまいに似た感動ができること請け合いです。個人的には、筆者による学術書を読んでみたくなりました。
このレビューは参考になりましたか?
90 人中、72人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
中国に7年間住んでいました。中国という社会は、外(今はアメリカから見ています)から見ていると、人権がない不平等な社会に見えますが、中で住んでみると極めて平等な社会なのだいうことを感じます。男女差別も日本や西洋諸国よりかなり少ないと思います。経済の自由、機会均等の自由は、改革開放で生まれたとはとても思えず、あたかも太古の昔から保障されているかのように見えます。同時に華僑の助け合いネットワークは非常に強く多くの華僑、中国企業を支えています。それらがいつどのようにして出来上がったのか?そういう疑問に対する答えをこの本からもらいました。曰く、宋代に皇帝を中心とした自由で平等な社会を築き、父系血縁ネットワーク(宗族ネットワーク)を失敗した際の保険とした。だから今も女性は結婚しても姓を変えないと。(確かに変えていない。確かに出もどりは普通)

一方で、江戸の社会は封建制で、その土地に代々続く統治者(藩主)とそこに土地を持って住む農民と役割をイエごとに割り振る運命共同体を作った。だからイエを離れる次男、三男は丁稚奉公に出て行くしかなく、それが使い捨ての社会を作っていると。それが戦後会社をイエとする社会を作り、そこから脱落した人に冷たい社会が出来上がっていると。(確かにフリーターに冷たい社会)

非常に納得がいく歴史観(著者が言うには歴史学では常識)です。

ただ、残念なのは、その歴史観を、「中国化する日本」とう題名にし、全般に、日本が遅れていて中国に負けているという感じを与える文面になっていることです。(著者は、どちらがよいというわけではない、とか、中国に占領されるという意味ではないと何度も何度も言っていますが…)おそらく、既成概念をひっくり返すための方法なのでしょうが、結果として、反発を招くのではと危惧します。

また、文体もあえてわかりやすいようなタッチで書いていますが、それが、逆に重厚感をなくしてしまい、学問でなく、意見であるかのような感じを与えてしまったのだと思います。

また、最後の方の章に、日本についてのみ書かれていますが、もっと中国、韓国、インド、ヨーロッパやアメリカを比較して記載すれば、日本だけが特殊や逆戻りをしているのではなく、中国も地方官僚が選挙でも科挙でもなく中央から選ばれ、期間が短いから信じられない不正を働く社会や、イエが強く残るカースト制度と格闘しながら経済成長しているインド、ポピュリズムとビジネスと化したアメリカの選挙など、まったく違う側面が見え、その解釈を通じて、もう少し、多面的な見方の中で日本を捉えられたのではと感じました。

いずれにせよ、人を開眼させる内容であることは間違いないし、それを32歳の学者が書いたということは、本当に驚愕に値すると思います。
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