古代〜清の西太后に至るまで、中国の女性がいかなる生を生きたのかに筆を尽くした書。
列伝というタイトルではあるが、中国史上に名を残した女性を一人一人挙げて功績や人生を列挙するような形式ではない。そうした形式で人物伝を付されているのは呂后、武則天(則天武后)、西太后の三人だけで、他は時代や作品の中で女性がどう生きたか、どう扱われたか、その立場はどうであったかなどを述べている。
1章(貞婦)、2章(孝女)、3章(妬婦)までの三章は女性をそれぞれのタイプに分け、中国ではどういう女性がそのタイプと見なされたか、また歴史や文学作品中の女性を例として上げてその紹介をしている。
4章の母の権勢では特に歴史人物の母親に着目し、5章傾国の美女では幽王のケースなどを取り上げて国を傾けた美女に筆を費やす。
7章は中国古典の金瓶梅と紅楼夢を特に分けて、その作中に見られる女性たちや彼女たちに寄せた著者、及び著者の生きた時代などについて触れる。
8章は先に挙げた三人の女傑、呂后、武則天、西太后を取り扱った。
専門書的なタイトルと愛想のない装丁から気難しげな本を想像しがちであるが、文章は簡易で読みやすく、内容としても小難しい歴史論を並べているわけではないので、終始楽しんで読めると思う。気楽に開いて中国古代に生きた女性たちに想いを馳せるのに向いた本だ。
一方で、専門的な知識を求めている人には物足りない内容なのではないかと思う。特に8章の三人の女傑については目新しい事実や視点があるわけではなく、わざわざ章を分けて項を割いたにしては物足りない印象。彼女らの事績を知りたいならもう少し詳しく書かれた本を探した方が良いだろう。
また、女性史を大きく捕らえているだけに大雑把に眺めるには向いているが、個々人についてはあまり詳しい記載はなく、あまり名の知られていないような女性が拾われているわけではない。
星3つの評価は私が人物事績を中心とした列伝が読みたかったからで、書籍そのものの面白さとしては3.5ぐらいはあっても良いと思う。難解な文章ではなく専門用語も少ないので、気楽な楽しめる本ではある。