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タイトルからも分かるように、本書は中国共産党によって、政治的に祖国で迫害に遭った人々の半生を描き出したものです。元北京大学生であり、現在はハーバード大学生である王丹氏をはじめ、アメリカ亡命後、アリゾナ大学で天文学教授を勤める方励之氏、二十年間の獄中生活釈放後、コロンビア大学客員教授を勤める魏京生氏らの肉声を通して、独裁政権によって今なお弾圧を受けている人々の実態が、目に見えるような形で実感できると思います。
とりわけチベットでの人権弾圧は凄まじい。政治犯に対する日常的な拷問や、一般人に対する執拗な監視・脅迫など、到底同じ人間に対する仕打ちとは思えない苛烈な弾圧ぶりが、体験者であるチベット人の肉声を通じてひしひしと伝わってきます。国内政治犯の八割以上がチベット人とも言われますが、チベットに対する強圧的な政策を改めるだけで、中国の国際的な地位は高まると思います。
香港に関する記述からは、人権弾圧とは異なる、言論統制の実態を知ることができます。記者に対する突然解雇や懲罰人事、新聞の強制的な廃刊、相次ぐジャーナリストの国外脱出、などの事例を見る限り、中国政府が本当に「一国家ニ制度」を守っているかどうかはかなり疑問です。香港返還当日の市民の反応が、諸外国に比べてかなり冷めていたと言うのも皮肉なことです。独裁政権下に置かれる以上、当然の帰結として言論統制が起こるわけですが、返還当日の外国(とりわけ日本)での浮かれぶりを見る限り、そうした負の側面はなかなか国外には伝わらないようです。
WTO加盟を契機として、着実に国際社会の一員に成りつつある中国ですが、現在でも60~80万人の政治犯が収容されているとのこと。資本主義顔負けの手法を用い、どれだけ経済改革を推進しても、全体主義的な要素はどうしても拭いきれない。経済交流や外資進出の活発化は大いに歓迎すべきことですが、こうした全体主義的な側面にも絶えず注目する必要があると思います。
冒頭の天安門事件リポートは臨場感あり。
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