半年前に発売された「韓国人がタブーにする韓国経済の真実」の中国版である。対談形式というところも同じで、平易な言葉で語られているため非常に理解しやすい。
対談は、北京大学を卒業後1988年に来日し2007年に日本国籍に帰化した石平氏と、産経新聞社中国総局記者として6年間北京に駐在した福島香織氏によるもので、中国に都合のよいことばかりが語られる中国人が著者の書とは異なり、本書の情報の信頼性は高い。二人の強みは中国語と日本語のバイリンガルであり、中国の情報をあらゆる中国メディアから得ることができるし、それを日本語で要約できることではないだろうか。米国の情報は英語を使用してネットでも得られるが、中国語がわからない私たちは中国の本当の状況を把握することは難しく、その点で著者二人の存在は大きい。
尖閣諸島問題・高速鉄道事故などを通して、数年前から日本人の誰もが、中国はなんでもありの国、中国政府が発表する情報はあてにならないことを認識し始めているが、本書を読めば、ごく最近のさらに危機的状況がわかる。
もはや「中国の経済的脅威論」を信じる者はいないだろうが、その実は惨憺たるものである。例えば、世界第2位と報じられるGDPには、地方政府が農民から土地をタダ同然で没収し、それを不動産業者に売ることで生まれる金額が計上されている。まさに元手のいらないバブル資金によりGDPが算出されているのだ。いったん不動産価格が下がれば、中国のGDPはマイナス20%にもなりかねない。値上がりを前提として年収の100年分以上のマンションを買っているサラリーマンがバブル崩壊にさらされれば、それは中国経済の崩壊に直結する。
リーマンショックで世界経済は大きな打撃をうけたが、その中で中国経済はいち早く回復したというのはウソで、実際は57兆円分の紙幣を刷って、かなりの部分をあの高速鉄道の建設に回したのである。そのため鉄道省の借金は現在25兆円なのに対して、年間の収益は1千億円にすぎない。この構造の中には付加価値や技術やサービスの向上が全くみられない。利益を生み出さないものに紙幣を刷ったため、中国は現在驚くべきインフレに悩まされている。
日本にとって最も深刻なのは、第5章「恐喝する中国」に明らかにされている。中国政府が軍をコントロールする力を失った時の、軍の暴走による周辺国との軍事衝突の可能性である。外交交渉となったとき、中国はどこを狙えばいいのかよく知っている。交渉の一番下手な国、つまり日本が狙われるのである。
好むと好まざるとにかかわらず、将来日本は中国と本気で付き合わざるを得ない。しかしその一方で「日本は中国に深入りするべきではない。それは日本にとって災厄以外の何物ももたらしません」、という最終章での石平氏の言葉が、読書後、真に実感できるようになる良書である。