いわゆる中国の「ネット世論」と呼ばれる物を切り口に現代中国、中国人の社会を描き出した良質な現地ルポです。
タイトルの「電脳大国の嘘」というのが本文の内容をあまり的確に表していませんが、本書中で「嘘」と呼ばれる物は基本的には日本側のメディアや識者の描く中国像であって、中国のIT産業等における過大評価が云々といった内容ではありません。
本書からは大雑把に
・日本で中国のネット世論として言及される物の実態。
・中国のネット世論と一般世論の温度差
・中国の「世論」の形成過程
・中国におけるネットの利用傾向。
等について説得力ある形で説明を得る事ができます。
難点を言えば用語に付されている注釈が余りに長く、ページによっては本文の内容とタメを張る分量。それも余り重要そうでもないネットスラングの解説でも同様で、あまり意味を為していない。雑学的には面白い内容なのですが・・。
日本人が中国に抱く感情移入や幻想に関しての部分では時代の隔たりはあるものの『日本陸軍と中国』 (講談社選書メチエ)等、戦前の支那通に焦点を当てた書籍と合わせて読むと考えさせられる所です。
総じて現代中国現地調査類の書籍の中では良質と言って良い書籍と思います。