3冊目となる中国本ということでワクワクしながら手にとりました。ほかの本からは絶対にえられないであろう鋭い見方や分析があますところなく披露される一方で、副島氏の本らしくまったく根拠のない陰謀論があちこちにちりばめられています。まあ、功罪半ばですね。ファンにはこういう毒気がたまらないのでしょうが、やはり読む側が冷静になって仕分けして読み進める必要があると思います。
すごい分析だなと感心したのは
1、アメリカは今後もアジア支配のために日中間を引き裂こうとしてくるだろうが、日中は絶対に戦争をしてはいけない。 2、尖閣事件を巡る一連の事件の本質は米中関係である 3、これからはユーラシア大陸の時代だ の3点です。日本はアメリカの後ろ盾なしには何もできないどころか、アメリカの差し金どおりに動いているというのが昨今の情勢だと思います。とくに日本はアメリカの中国に対する「かませ犬」というのは言い得て妙だととくに感心しました。なかなかここまでいえるひとはいませんよね。
残念ながらいつもの陰謀論であきれたのは
1、尖閣事件は海上保安庁の2隻が中国漁船を囲い込みむりやり衝突させた 2、民主党代表選では壮大ないかさまがおこなわれた 3、北朝鮮の砲撃戦はアメリカがやらせた の3点です。いずれもただの推測とこじつけで根拠がまったく示されていません。ゆいいつ3、は「駐日アメリカ大使館から情報が寄せられた」とありますが、ほんものの大使館員ですか?まさか大使館員を名乗る人物からメールが寄せられたのをそのまま転載しているだけではありませんよね?ほんとうならすごい情報ですが、本文では「〜らしい」といいぶりがとても弱く、著者の自信のなさを感じてしまいました。
共感しつつも疑問を残したのは
中国経済が急拡大し世界の覇権を握るという点。たしかに中国経済はしばらく高成長をつづけるでしょう。ですが、2030年以降は1人っ子政策の影響で日本以上に猛烈なスピードで高齢化が進むといわれています。20年後にのたうち回る「世界帝国」が目に浮かぶ気がします。
米国はこんごも金融危機にくるしむかもしれませんが、人口は増え続けておりまだまだ若い国です。ベンチャー企業もどんどん誕生しており、いまも世界中の優秀な頭脳が集まっています。かつてのスーパーパワーが減退するのは間違いないでしょうが、引き続き大国でありつづけるのでは、というのが個人的な見方です。