不思議な本です。ある部分は中国史の通史であり、簡潔なマルクシズムのまとめもあり、現代の中国への絶望でもあり、中国近代史への”正統的”な解釈への専門的な再解釈を通しての戦後の日本のグロテスクな中国研究への間接的な批判でもあります。そういう意味ではいろいろな読者層の欲求を満たしてくれる作品でもあります。根本にあるのは著者の中国と中国共産党への絶望的なまでの不信感です。著者の結論は232ぺージからにまとめられていますが、”中国近代史上に出現したいずれの政治運動も、目的を実現する可能性をはらんでいた”に集約されています。その観点から見た場合、中国共産党は、そのもたらした人的、物質的なコストの面で到底、正当化できるものではないわけです。ここには20世紀の世紀病ともいうべき外来のマルクシズムと土着の最悪の組み合わせの実験が見られるわけです。しかし、著者の文革への感慨(226ページ)は複雑で、四人組の一員でもある挑文元の1975年の予言の”合目的性”とその正確さへの指摘にも現れています。