一ページ当たりの文字数が少ないので、本の大きさやページ数にしては比較的早く読み終えることができると思います。しかし私にとってはページをめくる手が重かったです。
平松氏は、中華人民共和国の目指す戦略的な目標として、当面は、日本を含む東アジアから米国の影響力を排除して日本を孤立させ台湾を統一すること、そして日本を利用して経済成長を遂げ、それをもとに強力な軍事力を構築して、最終的には「中華帝国」を再興することであると指摘します。そしてこの本の中で、中華人民共和国が、一切ぶれることなくこの目標を追求し、わが国政府、官僚、政治家、民間企業、マスコミを篭絡してきた過程を書いています。もっとも恐ろしいことは、この戦略に積極的に協力してきた勢力が日本側にいくつも存在することです。
平松氏は「知識を以って力とするためには、言葉に対する力、現実を直視する力を養うことが重要である。(中略)言葉が内包する感傷的、感情的、感覚的なものを排除する知的訓練が必要である。(p.35)」と主張します。私が思いますに、そのためにはまず、中華人民共和国に対する贖罪意識を完全になくすことが必要と思います。これなくしては、先の大戦を本当に反省することも、そこから教訓を得ることもできないと思います。
最後に、中国およびそれにかかわるもの全て(一般の報道・バラエティ番組からCMまで)を見る際には、常に次の事実を念頭に入れておくことを強くお勧めします。
中華人民共和国は建国以来、対外的には十二回にもわたる戦争、対内的には内戦・政策の大失敗・大粛清などにより、五千万人から七千万人もの中国人および外国人を殺してきた、一党独裁・軍国主義国家です。そして中国四千年の歴史の中で、もっとも多くの中国人を殺してきたのは、決して戦前の日本ではなく、中華人民共和国を統治する現・中国共産党政権です。このような国が目指す「中華帝国」こそ、日本はもちろん世界にとって最悪の脅威です。