マフィアやヤクザといった「黒社会」が中国社会で大きくなってきていることに警鐘を鳴らす本。
アングラな組織はどの国にでもあるけれど、中国の黒社会は、かなり組織化されていて地方政府と結託している場合が多いことが特徴らしいです。そのために影響範囲が党務、政務、金融、司法、土地管理、工商、税務などと広いのが他国に見られないことだといいます。加えて逆T字型という大量の貧民で構成される社会であることから、黒社会の規模が大きくなってきている、と。
そういう黒社会と地方政府が結託することで、強制的な土地収用とか産業の独占なんかが起こってきているらしいです。黒社会があまりに巨大なために、レント総額がGDPの30%を超えているとか(この分析を説明してくれるのがもっとも手っ取り早いのでは?などと思いましたが)。
全体を通して多くの事例が引用されています。それらの分析ひとつひとつはしっかりしているんだろうけれど、全体的には散逸している印象を受けました。繰り返しの部分もけっこうあるような気がして、少なくとも私には読み進めづらい感じでした。読後に「中国の腐敗ってすごい」という漠然とした印象だけが残り、やや消化不良にとらわれてしまったというのが正直な感想です。とはいうものの、中国の政治腐敗を知るためには必要な一冊だと思います。