元々は戦前の中国共産党による宣伝工作のために利用された面が強いという事を聞いていたので、正直気は重たかったが、学術研究の関係上読んでみることにした。
内容は共産主義の幻想が崩れた現在からすれば首を傾げざるような点も多々あるが、なるほど読み物としては至極面白い。虚飾は多分にあるであろうが、紅軍が貧乏を楽しんでいる様は微笑ましさもあって、これが現在の中国共産党の前身であることをついつい忘れさせてしまうほど。
一般的に毛沢東賛美の本と思われがちだが、内容的には「毛沢東とその仲間達の旅路」と言った方が正確では無かろうか。
序文を読んだ限りでは原著のエドガー・スノーはやや尊大な人間のように思われる。
また、「自分は共産党員ではないが…」と前置きしているが、これは多分に怪しい。
巻末にわずかに「十字軍」という例えを使用した以外は、欧米人の書物で頻繁に出てくるキリスト教に由来する比喩や表現も皆無に等しかったので、少なくとも共産主義の思想にのめり込んでいたのは間違いない。