内容紹介
20世紀中国において誰が何人の命をどのようにして奪ったのか? 我々はいわゆる「歴史問題」の根幹をなす事実をはっきり認識しないままに歴史を論じてきたのではないだろうか。 本書は1900年の義和団事変以後、天安門事件までの20世紀中国における民衆殺戮の全容を記述し、チベット人を含むその人的被害を多様な資料に基づいて推計、算出した非常に有意義な研究である。 読者は本書が「歴史問題」に関する格好の概説書であると同時に日本の論壇が無視できない必読書であることを知るであろう。
内容(「BOOK」データベースより)
著者からのコメント
日本と中国の読者に読んでほしい『中国の民衆殺戮』
訳者 China's Bloody Century翻訳委員会代表 河辺志文
◆中国の民衆殺戮=日本軍394万人、国民党1021万人、共産党3870万人以上◆
『中国の民衆殺戮』は20世紀初頭以来の中国で起きた民衆殺戮の全容を記述し、その規模を推計したハワイ大学名誉教授R.J.ラムル氏の貴重な力作です。アメリカの学会で高名なラムル教授の本書に接してその重要性を知ったChina's Bloody Century翻訳委員会は今年日本語版を出版し、さらに天安門事件20周年を迎える来年には中国語版の刊行を計画しています。
本書で20世紀中国の民衆殺戮死者数を総計したラムル教授は以下の知見を明らかにしました。
(1)「レイプ・オブ・ナンキン」など昨今疑われることの多い日本軍の虐殺や戦争犯罪に関する主張をほぼそのまま信用したとしても、日本軍による民衆殺戮推計は394万9,000人にとどまり、反日勢力が激しく宣伝する「日本軍の蛮行」の規模は中国共産党や中国国民党の民衆殺戮にはるかに及ばない。
(2)あまり知られていないが、本書の推計では国民党による民衆殺戮は日本軍を大きく上回る1,021万4,000人に及び、20世紀世界で4番目の大規模な民衆殺戮を行った。
(3)中国共産党による民衆殺戮の規模は日本軍も中国国民党も大きく引き離している。本書の推計では共産党による民衆殺戮は控え目に推計しても3,870万2,000人にもなり、しかもその大部分は戦後に起こった。
(4)最後に、ラムル教授が日本語版への序で述べているように、大躍進運動の時期に発生した1959年から1963年までの世界最悪の大飢饉(死者推計2,700万人前後)に関して責任があるとするなら、中国共産党はソ連の6,191万人を超えて20世紀史上最大の民衆殺戮を行ったことになる。
◆現代に及ぶ中国共産党の民衆殺戮と歴史問題のバランス◆
以上から明らかなように、20世紀中国で起きた民衆殺戮の大半は中国の支配者達によるものです。そのため本書の構成でも、ページの大半が中国共産党の民衆殺戮に当てられ、4分の1ほどが国民党の民衆殺戮、日本軍の民衆殺戮に至ってはわずか1章になってしまいます。そして、共産党が支配した戦後の中国は決して平和ではなく、過酷な民衆殺戮の時代でした。本書を読めば支配を維持するために中国共産党がいかに民衆の間に党にとっての敵(資本家、地主、帝国主義者、日本など)への憎悪をかき立てて戦争より過酷な民衆殺戮を繰り広げていったかが理解できるでしょう。現代中国で起きているチベットや法輪功への弾圧もその継続なのです。
終戦後60年を過ぎた今でも日本軍の過去の戦争犯罪は非難されますが、本書を読めば、60年以上前の日本の過去を非難しつつその10倍以上に達する中国支配者たちの民衆殺戮を忘却することの矛盾が理解できるでしょう。
◆「中国の民衆殺戮」日本語版出版から台湾での中国語版出版へ◆
中国の支配者達に対して厳しい事実を明らかにする本書はしかし、単純な反中感情をあおるためのものではありません。著者ラムル教授は20世紀世界の民衆殺戮を広く研究しており、第二次大戦中のアメリカなど連合国による日本の都市への空爆も民衆殺戮として批判しています(本書p.10、p.135)。その上でなお民衆殺戮の規模が大きく現代でも深刻な問題となっている中国を平和研究の一環としてソ連に次いで取り上げたのです。本書の行間からは民衆殺戮の犠牲になった普通の人々への深い同情がくみ取れます。
日本語版の訳者China's Bloody Century翻訳委員会はそのようなラムル教授の想いを受け止め、日本の人々が今なお続く中国の民衆殺戮の問題の全容を理解することを願って本書を日本語に翻訳しました。幸いメルマガ「台湾の声」でも「良書紹介」として取り上げていただくなど本書は好評なようです。
しかし、本書は中国語圏の一般の人々の手元にも届くべきものと思われます。中国の民衆殺戮を過去のものとするためには中国の人々がその実態についてより深く知り、中国の在るべき姿を再考しなければなりません。そこで、China's Bloody Century翻訳委員会は日本語版の売り上げを用いて天安門事件20周年にあたる来年2009年に出版の自由のある台湾で中国語版を出版することを計画しています。台湾で中国語版が普及すればやがて中国本土へも広まっていくことでしょう。
より多くの読者が日本語版を手に取って知識を深められると共に、中国を変えようとするこの小さな努力に加わってくださることをChina's Bloody Century翻訳委員会は切に希望いたします。
メルマガとホームページもご覧ください。「中国の民衆殺戮」で検索!
著者について
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ハワイ大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)