科学的に間違いと思われる点を指摘する重箱の隅をつつくようなレビューが散見されますが、この本の本質はそんなところにはないと思います(勿論、間違いはないに越したことはないので、その分は本の価値が下がるのも事実ではありますが)。
この本の最大の指摘は、「中国で食品の偽装に手を染めている人は、全く罪悪感を持っていない」という点にあると思います。偽装は何度でも繰り返され、ある地域で食品偽装に対する規制が厳しくなれば、他の地域に移って偽装食品の製造を再開するという指摘に対しては、さすが国土が広大な中国ならではの偽装スケールと、変な意味で感心してしまう程です。
しかも、偽装のスケールが、「賞味期限を偽る」とか「良く似た食品を探してきて高級食材と偽って出す」という日本のセコい手口とは根本的に異なり、量を水増ししたり、色を付けて見た目を良くするためには、人体に有害だろうが何だろうが徹底的にやるという点には恐ろしさを覚えずにはいられません。
この問題の根本的な改善は、本当に中国政府が自国製食品の安全性を高めるという姿勢を内外に打ち出し、徹底的な取り締まりを始めることなしには決して期待できず、またそれは、中国内で拡大する一方の貧富格差(安全性に難があっても安価な製品を求める層が拡大していること)に鑑みれば、とても現実的とは言えないと痛感しました。
願わくば、この本の存在が単なる感情的な中国製食品叩き(=中国製品不買)の一助となるのではなく、現在日本で頻発している食品偽装まで含めた「食の安全」に対する根本的な意識改革の嚆矢となることを期待して止みません。