本書は、2009年にお亡くなりになられた日本の軍事評論家の第一人者である江畑謙介氏の(単行本としては)比較的初期の書物です。
江畑謙介氏は、理系大学出身、英国防衛専門誌の特派員やストックホルム国際平和研究所の客員研究員等を歴任され、兵器システム・戦術・戦略等軍事分野の博識な知識・分析力と政治イデオロギー的に中立な立場に基づいて「安全保障」「兵器」について一般市民でもわかりやすい説明をされる数少ない人物でした。
本書の内容は、
第一章 不安を呼ぶ朝鮮半島情勢
第二章 中国の台頭
第三章 極東ロシアの今後
第四章 極東米軍の役割
第五章 極東アジアにおける日本の安全保障
となります。
内容が執筆時(1993年12月)のものであり、2011年現在となっては情報・評価が古いです。なので、
一般的には「日本の防衛戦略」(2007年、ダイヤモンド社)を読まれたほうが良いかと思います。(第四章については「米軍再編」(2005年)「新版 米軍再編」(2006年)が詳しく、また、本書のタイトルでもある中国が空母を持つ理由・影響等については「安全保障とは何か」(1999年)が詳しいです。)
ただ、「安かろう、悪かろう」中国製兵器という評価が一般的で中国の現実的な軍事的脅威が語られなかった執筆時当時において、将来の中国の脅威について具体的に予想していた先見の明には脱帽するしかなく、現在でも読んでいて考えさせられる面白さはあります。