毛沢東統治下の中国では、4000万人以上の人的被害が生じたとされる。本書は、今まで明らかにされてこなかったエピソードを紹介する。例えば、1930年代初頭、紅軍(人民解放軍の前身)の内ゲバ事件では、毛沢東がAB団(国民党の反共右派組織)分子抹殺の名目で紅軍将兵を大量殺戮したという。内外から理想郷と憧憬された延安時代にも、実は共産党内では「整風運動」と名づけられた凄惨な粛清が行われていた。中国を代表する文化人・学者の迫害も熾烈を極めた。
毛沢東の統治システムを最も特徴づけるのが特務政治。一般民衆、末端組織の党・政幹部に対する制度と省・軍クラス以上の高級幹部に対する制度とを巧みに使い分けた。前者の代表例として全国に設置した「告発摘発箱」、後者の代表例として、幹部を警護すると同時に監視する「警護制度」、幹部に仕えつつ、毛沢東にのみ忠誠を尽くす「秘書制度」などを解説する。
空虚な毛沢東賛美を続け、恐ろしい歴史を隠してその政治手法を踏襲しようとする現政権を手厳しく批判する。
(日経ビジネス 2006/01/23 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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