本書原題は『中国経済、本当はどうなるのか?』である。
第一章で日本経済は中国経済にフロー、ストック両面で依存していないことを数値で証明し、次章からは中国経済が「成長の袋小路」にあることを中国国内外の要因、中国共産党の歴史的要因など様々な点から明らかにしている。
今後は本書を読んでからでないと、中国経済議論の場に立てなくなるのではないか。そう言えるほど、衝撃的な事実や指摘が満載である。
・中国・香港向けの輸出額はGDP比で2,79%、輸入額は2,44%。万一貿易が途絶しても0,35%しかGDPは減少しない。
・中国は日本の資本財を輸入し最終消費財を輸出しているため、レアアース禁輸への対抗策として日本はレアアース使用資本財の禁輸を打ち出せる。
・投資と輸出業への依存で経済成長を達成した中国経済。
持続的発展には個人消費拡大が欠かせないが、人民元安&人件費抑制政策、格差による中間層の不在、社会保障制度の未整備などボトルネックが山積み。もはや個人消費が拡大できないまま不動産バブル崩壊と共に終幕を迎える可能性が濃厚
など新鮮ながら数値に基づいた現実的な結論が示される。
「長いエピローグ」では、「中国民事訴訟法231条」の危険性が、知人が出国禁止に陥った方との対談により明らかにされている。
同法律は適用される条件も、また対象者も明確な規定が無く恣意的悪用の危険性が高い法律で、すでに100名ほどの日本人が中国で出国禁止に陥っているとのことだ。
コスト面、安全面双方でもはや中国進出のメリットはない。
外交、民間ビジネス双方において日本は中国におもねる経済的要因はない、という意を強くした。新聞テレビ報道で漠然と中国経済に脅威を感じている方にこそ読んでほしい名著である。