著者は早くから海外への生産拠点進出を考え、91年から
中国をはじめ、アジア、中東など10カ国以上への工場進出、
生産指導、調査等をされています。その文字通り身を張った
活動で得た経験、ノウハウ、識見と信念から書かれた内容の
本です。
中国人の本音と建前、中国における経済事情・労働事情
などが、アジアを中心とした他の国と比較しながら論じられ
ています。これはこれで実践から得た情報でそれなりに参考
になります。それよりもこの本で面白い点は、著者の商売に
対する独特の価値観からきた、以下のような意見です。
1.ここ数年言われているチャイナ・プラス・ワンには反対
1)中国経済の有事は杞憂
2)日本向け生産はもはや中国以外に考えられない
3)重要なことは中国有事の場合に、すぐに工場をたためるよう
に準備と蓄えをしておくこと。
2.金儲けは悪いこと:多くの事例を引いてこう結論つけて
いる。その論理には同意できかねるものもあるが、金儲けは
悪いことであるがゆえに、罪の償いに良い経営者たれといって
いる。
3.金儲けのために海外進出するのであるから、自分は有事
の際に、日本政府の保護や救出は不要。弊履のごとく捨てら
れても泣き言を言わないと宣言し、それくらいの覚悟を決めて
海外進出すべきである。
中小企業の経営者という方々は、ほんとうに体を張って仕事
にあたられており、この本にも命がけで経営にあたる中小企業
の社長の姿が描かれています。面白い本です。