中原中也生誕百年記念(2007年)発行の『中原中也全詩集』には「山羊の歌」「在りし日の歌」の既刊詩集ほか「未発表詩篇」が収載されている。その中から心惹かれる一節を抜粋し、わずか三十歳で逝ったこの天才詩人を偲びたい。
☆正直過ぎては不可ません/親切過ぎては不可ません/女を御覧なさい/正直過ぎ親切過ぎて/男を何時も苦しめます(「恋の後悔」より)
☆面白半分や、企略で、/世の中は瀬戸物の音を立てては喜ぶ。/躁ぎすぎたり、悄気すぎたり、/さても世の中は骨の折れることだ。(「見過ぎ」より)
☆倦怠の谷間に落つる/この真白い光は、/私の心を悲しませ、/私の心を苦しくする。/真つ白い光は、沢山の/倦怠の呟きを掻消してしまひ、/倦怠は、やがて憎怨となる。(「倦怠」)
☆どうともなれだ/俺には何がどうでも構はない/どうせスキだらけぢやないか(「玩具の賦」)
☆雨が、降るぞえ、雨が降る。/今宵は、雨が、降るぞえ、な。/俺はかうして、病院に、/しがねえ、暮しをしては、ゐる。(「雨が降るぞえー病棟挽歌」)
詩人として短い活動だったが、今なお読み継がれている名詩「一つのメルヘン」「汚れちまつた悲しみに」などがある。生への倦怠・虚無感を平明な言葉と自由な韻律で表現している。