いい意味で。
中原の虹からは、油と埃の匂いがむんむんに漂って来ます。
蒼穹の昴と同じ時代の、同じ系統、文体の作品であるのに
漂う匂いが全く違う。
そこに浅田次郎という作家の非凡さがある。
登場人物達は、我々の価値観で見ると残忍ですね。
「え、そんなことで?」という理由で無実の民を皆殺しにするくだりに
仰天しました。
しかし彼らには、彼らの道理、正義がある。
それらを守るためには殺戮もいとわない反面、義理堅く情深い一面もある。
生き生きとした異国の任侠劇に引き込まれました。
蒼穹の昴と同じく、細部まで描き込まれた精密な描写と生々しい人間像。
それらが醸しあい、「匂い」たつ時代小説となさしめているのでしょう。
時代物や歴史が苦手な人に合うかは分かりませんが、自分は
風俗描写をじっくりと読み込み、更にはネットで実物を調べて楽しみました。
ただ、個人的に、例の予言婆様の存在に違和感が・・・(笑
自らの意思でもがいて人生を切り拓くキャラクターばかりなのに、
彼らに、星周りとか運命という伝奇的なシロモノがそぐわない気がしています。
あと、毎度毎度、ながながと予言ポエムを聞かされるのが^^;苦手デス
神話や西洋FTも同様ですが、話をぶったぎってポエムが出てくると醒めてしまうのです。
ここはまあ、個人的な嗜好につき蛇足の感想ということで。