「珍妃の井戸」が「蒼穹の昴」の外伝的な作品であったのに対し、今作は正当な続編である。主人公こそ変わったが、明らかにあの後の中国を綴った大作である。私にとって「蒼穹の昴」は今まで読んだ中でダントツのナンバーワン小説である。その正当な続編・・・。出版されると聞いただけでうれしくて泣いてしまった。
さて内容はなぞの老婆から途方も無い予言を受けた張作霖が馬賊の頭となり、中国統一を目指す話である。この一巻は、大いなるプロローグ、といった感じで本当に話が動き出すのは二巻以降になりそう。ただ、一巻でも十分に物語を堪能できる。相変わらず、出てくるキャラクターはみんな魅力的。これは浅田次郎のうまさなのだが、新キャラクターが登場し、その人物について2〜3ページも読むと読者はすっかりファンになってしまう。とにかく人物描写が巧みで、一つ一つの台詞に血が通っている。今作で新たに登場したキャラはまとめて好きになった。その中で、この巻ではわずかしか登場しなかった西太后と李春雲が光る。旧キャラと新キャラの邂逅を想像するだけで今後から目が離せない。
あの名作中の名作、「蒼穹の昴」の続編にして浅田次郎渾身の中国歴史小説「中原の虹」。やはり圧倒的である。