エンターテインメント的な要素はほとんどないので、読み物としては今ひとつですが、日本の保険診療レベルの漢方薬について、本書を紐解くと、概ね漏れなく必要な情報がコンパクトに記載されていると思います。
冒頭に17ページほどの「総論」も掲載されていますが、本書の眼目はやはり残る500ページ以上の「各論」でしょう。
そこでは各薬剤について、原典、組成、用法、効能、主治、病機、方意、などを利用者に伝えようというのが基本的な構成になっています。とは言え、主な効能による分類で、骨格となる方剤についてはそれらの事項について詳細に記してある一方、そのvariantsについては簡略に済まされ、省略(?)も目に付きます。
当初は評者の低い理解力も災いして、本書の有難味(?)がわからず、本棚に飾ってあるだけでしたが、別の方剤学書の記述を読んだ後、本書に戻ってくると、こちらにもしっかり書いてあるのを改めて思い知らされ、以後必要に応じて本書を開くようになりました。
そのような次第もあり、頼りになる一冊だと考えますが、完璧な方剤学書とも言えないようです。(そのようなものがあるとしての話ですが。)
某製薬会社からカタカナのネーミングで市販されている漢方薬(苓桂甘棗湯)について調べようと思って本書を検索してみたのですが、記載されていないのです。
何でも手取り足取りが良いとは限りませんし、時には方剤の構成から、自分でその作用を考えたほうが勉強になるという親心から、というわけでもないのでしょうが、記載がないこと自体は少々意外だったこともあり、★4つとしました。