自分は最近の流行に影響されてデジタル一眼レフカメラを買ったクチなのですが、
そういうユーザーが往々にして陥る「買ったはいいけれど、いったい何を撮れば
いいかわからない…」という目的不在の状況にずっと不満を感じていました。
そんなときに巡り会ったのが、この一冊です。
はじめは本書の真似をして鉄道でも撮ってみようか、という軽い気持ちでいたのですが、
読了後は、写真を撮る上での大切な何かを教えてもらったような気持ちになりました。
本書には鉄道写真家として有名な中井精也さんの作品が多数収録されているのですが、
ページをめくるたびにあらわれる、氏の情緒あふれる鉄道写真に強く心を打たれました。
うまく言葉にできないのですが、単に色彩が美しかったり構図に迫力があったりするだけでなく、
一枚一枚のカットから氏の鉄道に対する”情熱”や”愛”が手に取るように伝わってくるような気がしました。
本書を通じてわかったのは、「撮るものを探す」ということは、つまり自分の人生にとって
何が本当に大切なのかを自分の内に見いだし、それを写真のテーマに据えることなのではないか、
ということでした。
中井精也さんにとっては、それが鉄道だったのでしょうね。
ちょっと大げさかもしれませんが、自分もこれからカメラを趣味としていく上で、
そういう大切なものを探しながらシャッターを切っていければいいな、という
温かい気持ちになれました。