架空の騎士ジェラールを案内役として中世の騎士について語られる本です。
と言っても中世ヨーロッパの期間は千年程。ジェラールは中世盛期の真ん中あたりに生まれた設定なので、ジェラールの生きた時代(十二世紀)が中心として語られます。ただ、その前後の時代を生きた騎士についても触れられています。
「はじめに」や「あとがき」にもありますが、本書は資料として使われる事を前提とされていません。「中世ヨーロッパと騎士の姿をおぼろげながらも知っていただくために書きました」と書かれています。読んだ印象としては確かにそんな感じはします。しかし、結構細かく書かれている部分もあり、資料として使う事が出来る感じもします(索引もありますし)。武器や戦術、城の図解や農法等、様々な事柄について書かれているからです。当時の風景はこんな風だった、といった挿絵もあります。
ジェラールが生まれてから死んだ後までを書かれていますが、ジェラールを中心とした「小説」ではなく、一人の騎士であるジェラールの「周りについて」書かれているのが良かったです。案内役として機能していると感じました。
完全に「これは資料本だ」という風に出版されている中世騎士の本と比べると資料としての価値は下がりますが、ジェラールという一人の騎士を中心として書かれているので、中世の世界観に入り易いのはこの本のメリットですね。