本書の著者は以前、知る人ぞ知るNHKのFM番組『朝のバロック』の解説をしていた方です。
はじめに、ポリフォニーについての簡潔で明解な定義・解説があります。これを読んで、私は初めて"ポリフォニーの声部の絡み"という現象を整理できました。中世の音楽は、決して暗黒時代ではなく、単声グレゴリオ聖歌の時代などの中世初期は確かに教会音楽家たちの封建的な参加が主でしたが、次第に参加枠がオープンになり市民へと拡大していった事、これが世俗的音楽勃興へと繋がったと著しています。 ルネサンスが訪れ、Ars Nova様式とイギリス宮廷音楽が生まれ、対位法とは別に和声が進化し、Okcheghem,Josquinなどがルネサンス初期を飾りました。フランドル学派については紙面を割いて丹念な解説が記され、巨匠Lassusが最後を飾ります。多声音楽がミサに有効であるという事を"説き伏せた"Parestlinaへ解説が移り、宗教改革によるルター派音楽が勃興してM.Luther自らも作詞作曲していた事を知りました。ドイツバロック音楽の"待降節"とも理解できます。中世ルネサンス音楽史事典、年表、ミサ通常文(訳付)、音楽史関連地図などの資料が充実しており、検索も可能なミニ辞典としての機能を立派に具備しています。