「中世の道」という概念に新たな光を当てた好著。
豊富な史料を駆使し、様々な角度から中世の道を解説してくれるので、街道や河川の交通状況だけでなく、戦国に生きる人々の時間・空間感覚までも理解できる。道という角度から戦国の合戦の実相も見えてくる。さらに、鉢形、愛宕山、荒砥など峠や街道と城との関係にも触れており、中世古城ファンにも新たな視点を提供している。
さらに構成が上手いので、話がどんどんつながっていく。新書特有の「何々の謎を解く」的な大風呂敷も、大げさな表現もないので好感が持てる上、文章かうまいのでサクサク読めてしまう。最近は、本書の著者である齋藤慎一氏や黒田基樹氏をはじめとした「読みやすい」歴史研究家の本が次々と出てきており、戦国関東ブーム到来の予感がする。
出版業界は、こうした好著を新書という形態で、これからもどんどん出していってほしい。