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中世の天皇観 (日本史リブレット)
 
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中世の天皇観 (日本史リブレット) [単行本]

河内 祥輔
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

古代・中世の天皇は、どのような存在であったのか。皇位継承問題に絡む政治的事件の背景にある独特の天皇観・特徴を、現代人の天皇観と対比しながら探る。

内容(「BOOK」データベースより)

古代・中世の貴族や武士は、天皇をどのような存在とみなしていたのでしょうか。また、天皇自身は、どのような存在でありたいと考えていたのでしょうか。古代・中世の政治的事件のほとんどすべては、皇位継承問題が原因で起きたといっても過言ではありませんが、その背景にはこの時代の独特の天皇観がありました。その特徴はどこにあるのか、我々現代人の天皇観と対比しながら探ってみましょう。

登録情報

  • 単行本: 102ページ
  • 出版社: 山川出版社 (2003/01)
  • ISBN-10: 463454220X
  • ISBN-13: 978-4634542204
  • 発売日: 2003/01
  • 商品の寸法: 20.6 x 14 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
単なる皇位継承とは異なる血統の論理(「正統」)や日本神話に示された君臣関係の理念が中世人に共有されていたことで、摂関家や幕府による天皇の改廃が正当化されていた、という点が非常に興味深かった。承久の変に於ける幕府の行動に決定的な影響を与えたのが、大江広元・三善康信ら下級貴族の天皇観であった、という所論も蒙を開かれる思いがした。筆者によると、鎌倉幕府は新たな「正統」を定めることができず、そのため「正統」の確立を目指す後醍醐天皇の決起を招き、崩壊に到ったということになるが、この点は本書での簡単な論述ではあまり明解でなかった。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 本書では、中世以前の「天皇」なる地位の基盤、つまりある個人を天皇として周囲の人(基本的には、朝廷及び武家政権の権力者達)が認める論拠となっているのは、「正統(しょうとう)」という概念だとする。まさに、天皇の正統(せいとう)性は、正統(しょうとう)によって基礎づけられる。
この「正統」とは、ごく最近に皇位を継いだ天皇の父系血統であるが、今上から上代にさかのぼる形で認識されるものだが、神武天皇から下る系図の「幹」という形で構想されるもので、本書の31ページ以下で視覚化されている。
 この「正統(しょうとう)」を周囲から認められることが、皇位承継の条件であったというのが、本書の主張であり、この点から、平将門の新皇称号や足利義満の皇位簒奪意思を否定している。
 この「正統(しょうとう)」概念、非常に興味深く、日本の13世紀から16世紀の歴史を見る時に、常に気になる「その当時の天皇の有り様」について、新しい視野を広げてくれる。

 ちなみに、この「正統(しょうとう)」概念は、徳川将軍家内の征夷大将軍位の継承においても、同様な感覚があったのではないだろうか。例えば、別書「幕末の将軍 (講談社選書メチエ)」の中で、第15代将軍・慶喜の、徳川将軍というか、吉宗以降の将軍位継承者との血統上の特異性が論じられている。一橋派の慶喜が、家格としては御三卿として形式的には将軍家に近い人物ではあるが、血統としては、水戸徳川家の流れであり、吉宗の血統は引いていない。一方、14代将軍・家茂は、家格としては御三卿よりは将軍家より遠い御三家の流れでありながら、大御所11代・家斉の孫という吉宗の血統の濃い人物であった。この点こそが南紀派の「正統」の論拠だった。
 とすると、この南紀派と一橋派の対立は、吉宗を「祖」とする「正統(しょうとう)」概念によって、(とりあえずの)決着をつけたということなのかもしれない。
 
 本書で展開される「正統(しょうとう)」概念は、結構長く日本の政治を拘束したものなかもしれないという意味で、そこを一点突破で指摘・解説する本書は、とても興味深い一書だと思う。
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