本書では、アナール学派第3世代の雄であるJ.ル=ゴフ氏が築き上げた、中世ヨーロッパという「文明」に対する壮大なイメージが描き出されている。著者の業績である煉獄や聖王ルイの研究がエッセンスとして本書を特徴付けている。
中世において、銀行業が教会から忌避されていたことは有名であるが、知識人も同じ扱いを受けていたというのは新鮮である。彼らがいかに自己を正当化していったのか、それが本書の一つの見所といえよう。
しかし、本書は決して難解な研究書ではなく、一般の読者でもすんなりと飲み込めるものである。
読み物としてかなり好感の持てる本書ではあるものの、あえて欠点を指摘するなら、ヨーロッパ人独特の西欧中心主義が表に出ていることくらいだろうか。