なんとも物騒なタイトルですね。人殺しとは…
《人殺し》とはいっても、ここでは一種のサービス業として描かれています。
つまりお客さんは、自分を殺してもらうために、わざわざこの《人殺しの家》を
訪れ、用意されたメニューの中から好みの殺され方を選ぶというわけです。
それはあたかも、美容院にいって好みのヘアースタイルを選ぶような感覚。
こんな商売が成立する世界は、いったいどんな価値観が通用しているのでしょう?
死に方は、自分の責任で決めなければならないということか?
(お店のほうは殺し屋の熱意とは裏腹に、あんまり繁盛してませんが)
一見、不条理ナンセンス物かと思いきや、よくよく読むと深いものがありました。
どんな殺しのメニューにも満足しない老婆の登場がポイント。
逆説的に命の重みや尊厳が伝わってきました。
20年以上も前にリブロポートから出ていましたが、多くのリクエストに
よって復刊を果たした怪作。