タブーを恐れぬ視点で、自殺者急増、鳥インフルエンザ、児童虐待、国際政治報道などの裏に潜む“ホント”をえぐり出す。有名エコノミストが女子高生のスカートの中を手鏡で覗いた疑いで逮捕された事件では、罪の重さと本人が失った地位や仕事を比較すれば、明らかに「報道による集団リンチ」だと独自の見解を示す。
(日経ビジネス 2005/08/08 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
登録情報
|
例えば、実体がないにもかかわらず「民事不介入」という言葉を警察が伝家の宝刀のごとく振り回して、多くの犯罪を見て見ぬふりをしてきたというお話。
「民事不介入っていうのがあるんです」と警察官が口にするのを私も耳にしたことがありますので、この「世間のウソ」はなかなか興味深いお話だと思います。ですが本書のようにわずか3頁程度の扱いでは十分に語り尽くせているとは言えません。
また児童虐待を取り上げた箇所で、「母親が実の子を殺す率が父親の五倍も多い」と書いています。しかしその理由についてはなんら触れられていません。
私が思うにこれは、一般的に母親のほうが子供と接している時間が父親よりも長いからで、その結果として母親による虐待死の件数が多くなるだけではないでしょうか。本書はそうした分析もないまま「子殺しは『母』が多い」と書いて意味もなく放り出しているようにしか見えません。
さらに「人身売買」を扱った章では、中国人女児が人身売買の対象になっているという新聞記事から、これは一人っ子政策下で生まれた二番目以降の子供が裕福な外国人夫婦の元で育つようにという親心がもとになっているのではないかと著者は推理しています。しかしそれはあくまで推理でしかありません。著者自身が中国の人身売買の現場に足を運んで取材したわけではありません。
この推理はおそらくそれほど外れてはいないのかもしれませんが、だからといって親心を汲んでこの人身売買は決して一方的に非難されるべきことではないかのように筆を進めている点には疑問が残りました。売買の対象となる子供の視点が欠けているように感じるからです。
取り上げるテーマを半分にしてそれぞれをもっと掘り下げたなら、さらに興味深い読み物になったことでしょう。
|
|
|