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世論 (下) (岩波文庫)
 
 

世論 (下) (岩波文庫) [文庫]

W.リップマン , 掛川 トミ子
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 306ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1987/12/16)
  • ISBN-10: 4003422228
  • ISBN-13: 978-4003422229
  • 発売日: 1987/12/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
リップマンはジャーナリストらしく、洞察に満ちたみごとな現状分析と、豊富な実例を用いた説得力ある文章によって、「民衆が自分たちの問題を自分たちで考え決定していく」などという牧歌的な民主主義が幻想にすぎないことを暴いていく。

その最終章は題名こそ「理性に訴える」であるが、訳者が解説の中で言っているような「アメリカ民主主義の最良の伝統を引き継ぎ、守り育てようとするヒューマニズムの精神とは何かが明らかにされているからである」とは私にはとうてい読み取れなかった。「非理性的な世界を扱うのに理性の方法を用いることは本来できない相談なのだ(p277)」。

このペシミズムとも言える冷徹な議論が現実の政治にどのように帰結していったのか?
考えさせられる著作です。
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By Utah
形式:文庫|Amazonが確認した購入
第一次世界大戦が終わった後の1922年に、20世紀最大のジャーナリストとも呼ばれる著者が書いた民主主義の本質の本です。やや読みにくいですが、その明晰さと誠実さは、「近代の良心」と言えるかもしれません。

小生の印象に残った点は以下です。
・人は、自分のものの見方(モデル)に囚われる。あるいは、文化が持つ偏見(ステレオ・タイプ)に当てはまることしか認識・理解できない。
・民主主義は、ギリシャのポリスのような全員必要な情報を知っている状況でしかうまく機能しない。連邦や外交は、その元となる情報を各人が持っていない限り、民主主義が有効に機能しない。
・新聞などのメディアには、一般の人はリーズナブルなお金を直接支払いたがらない。広告主を通じて間接的に支払われる仕組みから、編集者は部数が伸びる編集をせざるを得ない。
・ニュースとは、真実ではなく、契機にしか過ぎない。ニュースで使われた言葉遣いによって、一般の人はその事柄を嫌うか好くかの暗示を受ける。そういう暗示が無いニュースは一般の人には認識されない。
・米国初代大統領のワシントンは、寡頭政を好み、民主主義や共和制が大嫌いだった。3代ジェファーソンが初めて官僚任命権を導入することで、米国に民主主義が生まれた。
・広い範囲の情報が無い限り、政治は、天に任せるアナーキーか、中央集権かのどちらかに必ず集約する。情報を記録し共有するITや、指標に基づいた分析が、この歴史から脱却する鍵。各団体の情報員/駐在員が、情報や分析を交換し、それを広く一般の人に伝えることが、民主主義が成立する根幹である。
・理性のスピードは遅く、対応できる範囲は狭い。しかし、こういう人になりたい、こういう瞬間を味わいたいという希望がある限り、理性の可能性はある。

 晩年は、ヴェトナム戦争に反対し、ジョンソン政権から酷い目に遭わされたそうですが、筋の通った(プリンシプルのある)本物のジャーナリストをここに観た気がします。名著です。
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By ひろ×3 トップ50レビュアー
形式:文庫
本書の中で、リップマンは繰り返し、イメージの大切さについて触れている。人は事実ではなく、イメージに基づいて行動する。そして、「ニュース」や「世論」というものは、メディア側が作り上げるものだとも述べている。

メディアを有する権力は、擬人化されたステレオタイプや、象徴などを使って、民をひとつにまとめて動かそうとする。「政治とカネ」といったキャッチフレーズも、民を恣意的に動かすために用いられた、象徴、シンボルである。

マスメディアは、積極的に事件を起こし、ニュースを作り上げなければならないとも、リップマンは、述べている。この「積極的に事件を起こす」というところが大事である。マスメディアに携わる者への重大な暗示であり警告でもある。

世論について言えば、メディアは、社説やコラムなどを通して、大衆の「意見の創造」を行うのだという。というのも、読書は暗示を求めるからだと、リップマンははっきりと述べている。マスメディアによって作られる「世論」とは神秘の力であるとまで、リップマンは書き、「世論」の力の大きさについて示唆をしている。

「世論」を振り回して、その国の政治におもねるのではなく、権力監視をする存在としての、マスメディアが絶えて久しい。しかし、未だ良心を持った人間が中にいることを期待したい。

マスメディアの作ったニュースをそのまま飲み込み、マスメディアの「意見」を拝聴する時代は終わった。我々、一人一人が、ネットや単行本によって、主体的に情報を収集することが求めらる時代となったのだ。
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