『世紀末』という響きがなんとも好きです。退廃的・・・。ファム・ファタール・・・。
手に取るのにちょうど良い大きさ、厚さ、軽さです。新潮社、「とんぼの本」シリーズの一冊。色々出ていますから、シリーズを御存知の方は多いと思います。オールカラーで印刷もとてもきれいですが、美術書としては小型なので、絵画自体を楽しむのには、少し物足りないかと思います。
登場する主な画家は、まずおもて表紙の「ギュスターヴ・モロー」。うら表紙の「クリムト」。そして目次のバックに「オディロン・ルドン」(大好きな画家です。)
他にシュトゥック、ロップス、ビアズリー、ハント、クノップフ、バーン=ジョーンズ、デルヴィル、ベックリーン、ロップス、アンソール、シーレ、ムンク、クリンガー、リケッツ、ド・フール、ベルナール、ゴーギャン、フレデリック、ジンベリ、トーロップ、ラッセル、ホイッスラー、ロセッティ、バクスト、などなどの画家の絵画が贅沢な挿絵のように使われ、『世紀末』を美術でもって解き明かすといった趣向です。いずれの画家の絵もそれぞれ多くて三点ほどですから、この画家が好きだからという観方には添いません。
この時代の絵画(ラファエル前派、象徴主義)や文化、あるいはこの時代の思想をふくめた雰囲気に興味のある方にはお奨めです。上にずらりと名前を並べましたが、これで半分くらいです。絵画の雰囲気を感じながら、順に読み進めるのも、目についた絵画や自分の好きな画家のページを拾い読みするのも良いと思います。しっかり読めばかなり深く世紀末(美術)について学べます。
序章 「物語る絵、物語らぬ絵」をはじめとして各章のタイトルが内容を仄めかします。「生贄にされる男たち」「死、そして愛」「不安と絶望」などです。