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世界酔いどれ紀行 ふらふら (知恵の森文庫)
 
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世界酔いどれ紀行 ふらふら (知恵の森文庫) [文庫]

田中 小実昌


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 「コミさん」の愛称で親しまれた著者の、最晩年の旅行記である。しかも「文庫オリジナル」で登場だ。キプロス島、ニューヨーク、シドニー、アムステルダムの「ふらふら」渡り歩きは、雑誌に断続連載されたものだが、残りのブレーメン、ベルリン、ロンドンの「ふらふら」は本書が初出となる。コミさんの作品、こと文庫においては、なかなか手に入りにくいので、これは貴重である。

   毎年冬と夏、コミさんは海外で暮らす。1箇所にひと月くらいは滞在する。その間に、しょっちゅうバスに乗って「ふらふら」出かける。そのバスがどこへ行くかも知らず、片手に哲学の翻訳文庫本を携えて、ひょいと乗ってしまう。

   そして、どこかで「ふらふら」飲んでいる。ホテルのバーで、あるいはその土地の人間だけが集う酒場の片隅で、ワイン、それも大好きなのは白ワインだ。ともにグラスを傾けるのは「新宿ゴールデン街のノンベエ」のマコこと、ライターの田家正子、それに旅先で知り合った気のおけないその他大勢だ。キプロスでは、乗ったバスの運転手の家でごちそうになっていた。

   旅先で出くわした食べ物にも、「ふらふら」と昔の記憶がよみがえる。ニューヨークで食べたチリ・コン・カーンや赤かぶスープに、呉の進駐軍の炊事場で働いていたころを思い出し、ブレーメンのオムレツから、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を翻訳したころを懐かしむ。そんなふうに、コミさんの「ふらふら」はどこまでも続いていくのだ。(文月 達)

内容(「BOOK」データベースより)

「毎年、冬と夏のあいだは、ぼくは外国の町にいる。二カ月ぐらい滞在する。でも、ガイドブックは一度も見たことはない。観光とは、ぜんぜんちがう旅をしてるのだ…」キプロス、ニューヨーク、シドニー、アムステルダム、ブレーメン、ベルリンそしてロンドン。行く先不明のバスに乗り、酒場と人々の出会いを楽しんだコミさん最晩年旅行記。

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