2008年秋から顕在化した金融恐慌の震源地を深堀りし、根底にあるものを語気鋭く告発している。日米の金融界の表裏に通じた筆者でないと書けない本だ。これだけ明言すると反発も多いかと思われるが、読者には明解でコンパクトな解説書である。文章も分かり易く勢いがある。
Investment Bankが案出して世界に売りさばいた金融商品の仕組みや、それを回して巨利を得たHedge Fundの行動を平易に説明している。
筆者が強調するのは、(1)Investment BankとHedge Fundの、実業を知らぬ倫理観希薄な秀才達が、金儲けのために案出した仕組みと行動が、今回の恐慌の根本にあること、(2)Hedge Fundは、金融界では必須の存在かも知れぬが、社会貢献の上では百害あって一利無しだということ、(3)社会に貢献する産業資本を支援する補助的存在であるべき金融資本が、肥大化して産業資本を引き回していることに元凶があるという点だ。