言語学の大家による歴史言語学と言語類型論の壮大な統合。
松本氏の膨大な言語データをもとに、主語やキョウダイ名、数詞、母音調和といった数々のテーマについて緻密な考察を展開する。膨大なデータと緻密な考察は説得力に満ち、知的興奮を誘ってやまない。それらは、日本語の系統や近年の統語論や人類学といった近隣諸科学にも資するところは大きい。
様々な場で発表された論文を収録したという形式上、やや統一感がない点もあるが、それぞれ専門的な論文であり、読み応えは十二分にある。
また、あくまで言語学の主流は実証的なデータに基づく穏健かつ地道な一般化であるとの前提が一貫しており、特定の一言語をもとにした統語論のいきすぎた風潮に釘をさすものとなっている。