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考慮して「エントロピー」の概念を導入するなど、新たな独自性があります。
まず、第一章では「経済と意識のグローバル化」という新事態に対応して、WTOなどによる貿易自由化や人権意識の拡大
などにも対応する地球市民意識の拡大、地域協力の進展など、世界経済の90年代以降の変化と特徴について
述べています。特に、多国籍企業についての分析が詳しく、また、著者の専門とする南北問題、南南問題などを
念頭に置いた上で書かれていると思います。第二版の70年代後半から80年代の分析同様、図表なども多く提示しながら
丁寧にわかりやすく説明してくれていて珠玉の出来です。
第二章では現代の世界経済における問題として人口・エネルギー・環境の問題を扱っています。おそらく、これらの問題
に関しては詳しい方も多いと思われるので、さほど新しい情報はないかもしれませんが、
やはり多くの資料を掲載し、経済格差の問題を念頭に置きつつ、概観してくれています。
ここで熱力学第二法則の概念を導入したのはわかりやすかったと思います。
第三章は第二版と違い、南北問題・地域協力について詳しく述べ、最後に日本の10数年を振り返り、簡単に
これからの展望を述べるに留まっています。第二版では、軍事と経済の関連を大胆に分析し、ほぼ現在の経済状況を
ピタリと当てる素晴らしいパターン分析的な将来予測をしていて期待していただけにこの章はちょっと残念でした。
また、残念というわけではありませんが、意外にここ10数年の大きな変化であるテロリズムや地域紛争などの
問題には多くは触れてありませんでした。
相変わらず読み応えのある名著ですが、最後は前の版が超人的だった分トーンダウンしたかな、という印象でした。
もちろん当然のごとくの名著ですが、第二版が★6つ、第三版は★5つ、という感じです。
第一章では、「世界経済の現状」として、主にニクソン=ショック以降の変動相場成制下の自由化の流れを
分析しています。この1970年代後半から1980年代にかけての経済の動きをほぼ網羅して包括的に分析すると共に、
南北問題の解決に向けての「新国際経済秩序」や多国籍企業の分析は特に詳しく行われています。
図表などの資料も適切に提示され、かなり緻密に、かつ本質を捉えた突っ込んだ分析が行われていて、
この数十ページでこれだけの内容の濃さはすごいな、と思いました。
第二章では現代の問題として、「人口問題」「エネルギー資源問題」「環境問題」に触れています。
こちらはそれぞれを主要テーマとした本を読まれている方も多いと思うので、そこまで目新しいものではありませんが、
かいつまんで資料を提示しながら要約してくれています。
第三章では南北問題へのより突っ込んだ議論や南南問題、EC(現在はEUですが…)、ASEANなどの地域協力、
社会主義計画経済の破綻を扱っていて、特に地域経済秩序の分析は非常にわかりやすいです。
第四章では、「世界経済の将来と日本」というテーマの下、「軍拡」「人権」という重大なテーマを混合しながら
1990年以降、世界経済はどんなシナリオを取りうるか?についていくつかのパターンを提示し、かなり緻密で突っ込んだ
分析をしています。これが今になって読み返してみるとピタリ現状を言い当てていて、恐ろしいほどです。
この章は、すごい…。
ここまで現代世界経済を精密に分析している本に初めて出会いました。
「世界経済入門」として、「日本」の登場するバランスも絶妙です。
1970年代以降の現代につながる経済史分析の書として、また現代経済への重要な分析の書として、
出版から10年以上たった今だからこそ読む価値がある、読んで損のない本です。
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