名古屋大学大学院経済学研究科の教授・准教授が編者を務め、
4年の年月をかけて完成した経済史の教科書。
大学学部教育の基礎過程を念頭に書かれた「1.通史編」については、
従来の世界史における欧米中心の記述を、
東西世界の対決・交流・融合の視点から書き直しを試みているが
如何せん近代国民国家成立以降は欧米中心の記述にならざるを得ず
まあ、そう目新しくも無い。
本書の真骨頂は、大学学部教育の専門(応用)課程を念頭において
書かれた「2.テーマ編」にある。市場経済・信用システム・経営組織・
市場への国家の介入・福祉などなかなか魅力的なテーマが並んでいる。
最も面白かった部分をひとつ挙げれば、「貨幣がまずあって、
それが貸借されるのではなく、逆に貸借関係から貨幣が生まれてくる」
という引用から始まる第9章。現代において貨幣として機能しているものが
金属貨幣とはまったく違うルーツをもつ、という視点はなかなか新鮮で興味深かった。