経済政策が現状の仕組みを維持することが目的になっており
新陳代謝が進まない。
ゆえに新産業が勃興せず、雇用も生まれない。
日本経済が、どんどん衰退していく。
ってのが大まかな話。これは、よくある話だ。
ただ、その要因を端的に表しているキーワードが秀逸である。
「製造業の農業化」だ。
自動車/家電メーカーなどの特定分野への措置
(エコカー補助金、エコポイント、就業助成金など)が、
企業の自助努力するマインドも能力を奪い取っていると論じている。
ざっくりチャートにすると以下になるように思う。
水平分業体制が成立しているグローバル市場で
'↓
日本のお家芸である、垂直統合的な擦り合わせ技術の重要度が低下、
そこそこ使えりゃいい的なグローバルニーズで高付加価値も評価されず、
'↓
コスト面からも新興国との競争にさらされるが
'↓
硬直した労働市場・正社員絶対主義の労働組合の影響で
大胆なリストラも断行できず、
'↓
非効率な工場などの生産設備をたたむことも出来ない。
'↓
ゆえに、カネに余裕がないので新しい分野への投資も出来ない。
'↓
利益も上がらず、組織維持にかかるコストを補助金で補填(することを陳情)
つまり、現状の製造業は莫大な税金と
根拠なき「ものづくり信仰」でなんとか回しているだけなのだ。
まさしく、補助金がないとやっていけない農業といっしょ。
産業構造の転換を進めてないと、
製造業どころか日本全体が沈没すると警告している。
著者はアメリカとイギリスを例に出し、
金融・情報・サービス(主に介護)といった
新分野に大きく舵取りにすべしと主張している。
この手の提案には鮮度はない。
疑問に思うのは、なぜアメリカとイギリスなのか。
現状のままでは、製造業はGMみたいに
からっきしに駄目になる主張はわかる。
金融以外の他のモデルってありえないなのだろうか。
現在好調のドイツは、参考に出来ないのか。
もう少し大胆な提案を読みたかった。
他にほほうと思った箇所は、
中国はじめ、新興国シフトは早計であるという主張だ。
日本→中国の輸出品は、中国→海外の輸出品向けが主。
欧米の消費が回復しなければ、中国の輸出も増加せず、
日本の中国向け輸出も回復しない、とのこと。
データを多用し、とっつきにくいが、
このような主張はメーカーが大スポンサーになっている
マスメディアでは流れにくい。
手に取るに値する一冊だと思う。