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世界終末戦争
 
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世界終末戦争 [ハードカバー]

マリオ バルガス=リョサ , Mario Vargas Llosa , 旦 敬介
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

19世紀末、大旱魃に苦しむブラジル北部の辺境を遍歴する説教者と、彼を聖者と仰ぐ者たち。やがて遍歴の終着地に世界の終りを迎えるための安住の楽園を築いた彼らに、叛逆者の烙印を押した中央政府が陸続と送り込む軍隊。かくて徹底的に繰返された過酷で不寛容な死闘の果てに、人々が見たものは…。’81年発表、円熟の巨篇。

登録情報

  • ハードカバー: 712ページ
  • 出版社: 新潮社 (2010/12)
  • 言語 日本語, 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 410514507X
  • ISBN-13: 978-4105145071
  • 発売日: 2010/12
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 4.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 258,501位 (本のベストセラーを見る)
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文学の響き 2010/12/11
 「世界終末戦争」は十九世紀末に実際に起こったカヌードスの叛乱が元となっており、原始キリスト教的コミューンと産声をあげたばかりの共和制国家ブラジルとの戦争を描く。聖者コンセリェイロの遍歴や信者達の挿話など社会や政治を絡めて話は進んでいく。二段組み七百頁という大書であるが、読者を厭きさせることなく物語はドラマチックに展開する。争いの中で葛藤する人間の営み愛憎に塗れた人間模様が、丹念かつ臨場感たっぷりに描かれ歴史小説の面白さを堪能できる。たくさんの要素が込められた本書は、近代国家への歩みを進める中で共同体のあり方や人の生き様を考えさせられる。遠く離れた南米の歴史は決してわれわれにとって無縁のモノではない。賢者は歴史を通して学ぶという。本書を通して読者ひとりひとりが意味を見出せればいいのだろう。

 本書は長年絶版状態にあった。作者の国際的評価の高まりと共に出版社が復刊を決めたとのこと。多くの人に本書が読まれる機会が出来たことを嬉しく思う。そして浩瀚な書物を読みやすく翻訳した旦氏の功績は忘れてはならない。これを機にラテンアメリカ文学が花開き、埋もれた作家・作品が世に羽ばたくことを願いたい。
 本書「世界終末戦争」はリョサの渾身の作品であると共に20世紀を代表する文学として時を超え伝えられるべき書物だと思っている。
実に多くのことを考え感じさせられる本。
文学の重みが身体じゅうに伝わり心のどこまでもに響きわたる。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
19世紀末のブラジルの辺境の地で実際に起こった内乱を元にして、ペルーのノーベル賞作家が築き上げた魅惑的な形而上の世界です。そこでは希望と絶望、現実と幻想がないまぜになり、密林の内部で異常な増殖を遂げながら、仰ぎ見るような巨大で荘厳なゴシック様式の教会がそそり立つのです。

物語は、内陸部を遍歴する狂人のような聖人の草の根運動から始まります。教会と国家の権威を拒否し、私有財産や結婚制度、階級格差に反対する清貧の放浪者コンセリェイロ。そして彼を慕う無数の社会的弱者、奴隷、ごろつきや犯罪者たちは、辺境の奥地カヌードスに根を下ろし、地下人どもの「愛と平和の理想郷」を構築することに成功します。

富や権力闘争にまみれた共和国ときっぱり絶縁し、ひたすら心の平安を目指す「精神の共和国」に生きる人々を描く著者の筆致は温かく、地上に天国をもたらそうとする不可能に挑んだ、名も無き人々への共感にみちあふれたものです。

日本と同じような西欧化・近代化を目指すブラジル共和国の政治家と軍部は、そのような過激な共同体を国家とカトリックへの反逆とみなし、山にそびえる砦に向かって最強の暴力装置である第七連隊を差し向けるのですが、英雄セザル大佐は無惨な最期を遂げます。

権力対反権力の武力衝突というこの構図は、期せずして本邦の天草の乱や西南の役の英雄的な戦いを連想させてまことに興味深いものがありますが、再三にわたる攻撃を退けたコンセリェイロ軍も、ブラジル国軍八千名の総攻撃の前に全滅し、都市対山村、冨者対貧者、白人対混血、近代対前近代の一代決戦は、前者の最終勝利で決着したように見えます。

けれども、その後のブラジルでは第二、第三のコンセリェイロが間歇的に登場し、依然として世界最終戦の最終ラウンドが終わっていないことを雄弁に物語っているのです。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
まぎれもなく傑作。

長大な小説だが、飽きさせることなく、ぐいぐい引き込まれる。

全編を通して、ときどき醸し出せれるユーモアも効いている。

登場人物は多いが、どの人物も、いわゆる「キャラが立って」いて
鮮烈な印象を残す。どの人物にも愛着を覚えてしまう(悪党さえも!)

私は、知性を持った怪物「ナトゥーバのレオン」にとくに惹かれた。
(イメージとしては「美女と野獣」の野獣)

彼が炎に飛び込んでいく最期につぶやく(祈る)女性の名...。
万感迫るものがあります。

映画化しても良い作品になりそうだ。良い意味できわめて映画向きなのだ。
才能ある映画監督が上手く撮れば、上質の一大スペクタクル巨編になると思う。
(訳者あとがきによれば、実際、当初は映画の脚本として書かれたらしい)

物語の醍醐味、文学の詩情を味わいたい「大人」にお奨めしたい。
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