最近観た映画の中では出色です。観客を泣かせようとするお涙ちょうだいシーンがあるわけではないのですが、心が洗われて自然にこみあげてくるカタルシスをこの映画には感じました。隣の席で見ていた若いカップル(特に男の方が号泣)につられて、あやうく自分も泣いてしまうところでした。
主人公バート・マンローはバイク(インディアン・スカウト号)のことしか興味がなく、庭の雑草も伸び放題、掘っ立て小屋で愛車に添い寝する毎日を送っている。そんな欲のないピュアなハートの持ち主マンローのまわりには何故か人が集まってくる。しかも驚くべきことに女性(やオカマ)にもモテモテなのだ。前立腺肥大+狭心症を患いながらも、スピード狂の聖地ポンヌヴィルに向けて出発するマンロー。不思議なことにマンローが困りはて立ち往生するたびに、必ずどこからか救いの手が舞い降りる。そんな人を引きつける魅力的な好々爺を、名優A・ホプキンス(レクター博士を演じた人と同一人物とはとても思えない)が好演しています。
ようやくたどり着いたレース場で、取巻きのアメリカ人が親切の押し売りをする場面は少々悪乗りしすぎのきらいがありましたが、一面に広がる塩田でスピード記録の挑戦をするシーンは圧巻。「夢を追い続けない人間はキャベツと同じだ」と言い切るマンローの生き様は、老人ホーム選びに汲々とする日本のご老人たちとはひと味もふた味も違うような気がします。こんな歳の取り方を自分もしてみたいなぁと思ったりする40オヤジでした。