著者の前作「黒い絆」のレヴューに、私は、ロスチャイルド家の精神構造に迫りたい・・と書いたが、
著者が私のレヴューを読んだとは思えないが、私の個人的な期待に少々、こたえるような作品になっている。
他のレヴューを見ると、概ね不評である。理由は、本のタイトルに大きな問題があるように思うのである・・
本のタイトルは、通常、出版社が書くと言うことだが、これも、出版社が作った誤解を招くタイトル
になってしまったのでは?と思う。だからこの本の読み方としては、
「時間」とか、抽象的な概念が結構でてくるが、これに振り回されない方が、得策である。
それより、キリスト教、ユダヤ教、グノーシス、タルムードなるなかなか理解しにくい、
ものが、歴史にどのように関わってきたか?人間にどのような精神的影響を与えてきたか?
支配者がどのようにそれらを支配の道具として利用してきたか?
そのあたりの本質が、単純明快にわかりやすく書いてある。数多くのこれらに関する書籍を読んできたが、
一番、簡単に、短く、書かれている。
第五章以降も、歴史の大きなうねりを、短い言葉でわかりやすく説明している。
星の数程の歴史書を読んでも、その歴史を動かす真の支配者の実名と実像は、
彼ら支配者の意向により、歴史書に書かれないが、この本には書かれている。
ネタバレになるので、これ以上は書かない、実際、それは、読者が直接触れるべきものである。
後半の主役は20世紀の支配者「ヴィクター・ロスチャイルド」である。
第二次世界大戦を企画し、実行し、原爆開発を企画し
それを実用化し、使用し、戦後の冷戦構造を創った男に関する著作が、世界的に見ても極端に少ない・・
あるのは、断片的な記述が、様々な著作に、散見する程度である。
わが国おいては、著者が、一番ヴィクターに
迫っている人物と思われます。
ヴィクターの「御用経済学者ケインズ」の哀れな人生についての記述もあり、彼の知られざる面にも触れることができます。
そのケインズですが、「ヴィクターの僕」となり、彼に人生をささげたようにもみえる人生でしたが、この本を読んでいると、
彼の本心は、ヴィクターのおぞましくも冷血な精神構造に嫌悪して怪物ヴィクターを憎んでいたことがわかります。
最後に、記述の中で、そうかな?と思うところが何点か、ありましたが、その中のひとつを紹介します。
「なぜ?ドイツに原爆を落とさなかったのか?(原爆の製造が間に合ったと仮定して・・)」
のところで、「ドイツにはキリスト教徒とユダヤ教徒が住んでいるからである・・」
との説をとっていましたが、
私は、そうではなくて、陸続きのあの狭いヨーロッパのド真ん中のドイツに投下すると、
フランス、スイス、イタリア、北欧、東欧、場合によってはイギリスまでもが放射性物質の
汚染にさらされるからだと思います。
その点、日本は島国で、アメリカ・ヨーロッパからは、
はるかかなたの距離があります。
連合国で、近いのは中国ですが、中国は、
偏西風の風上にあり、放射性物質の汚染にさらされない可能性が高い・・
(そもそも、中国のことは、考慮や配慮はないと思いますが・・)
以上の理由で、ドイツ投下は最初からシナリオになかったと思います。