原典は1901年にW.バッジ博士によって英国より刊行されたもので、もともとの内容はエジプト人の宗教思想・儀式・死者の生活・哲学的解釈などを含んであるが、本書は訳者の今村光一氏が、その中の死者の生活だけを選んで翻訳したものである。一般の読者にわかりやすく、という趣旨の本だから、やさしく楽しく読めるが専門的知識を求める者には物足らなさを感じるだろう。この点は訳者自身もあとがきで書いている。死後の生活が物語風に展開していくが、楽しい読み物としてはいいかもしれない。読者対象をずいぶん低く設定している。初心者向けである。ただこんな内容で、これを「死者の書の古典中の古典である」と大きく出ているところは困ったものである。