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121 人中、105人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
ルポライターのスタンス,
By Mini Nuke (NY, USA) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 世界屠畜紀行 (単行本)
みなさん既に書かれているように、身ぢかなようであまり知らない食肉が「生産」される過程を各国で比べて書かれた本です。
イラストなどでどぎつくならず、またどうしても日本人であれば目を背けることの出来ない食肉産業に関わる人への差別の問題をも考え合わせており、従来の多くのこの手の本がこの辺の記述に関して甘かったことを考えると、とてもフランクな印象を持つ本です。 ただ、個人的に気になったのは、この著者のスタンス。 こういったルポを書く上ではライターがある種のスタンスを持ちながら取材をするのは当然ですが、この本ではそれがうるさく感じる時もあります。 例えば韓国での犬の屠畜の項。 「ウチザワは平気」という言葉に代表されるよう(というよりも本書ではこれが多出して少々煩い)に、この著者は犬をかわいがることとそれを食用にすることになんら相反するところを感じない=両立することと考えているのはわかります。 しかし、どうしてもそういう風に考えられない人の気持ちを理解しようと言うところが見られないため「なんで一緒のこととして受け入れられないんだろう」という以上のところに論理が進みません。 これはわかりやすい例として挙げたものですが、他でも同じようなことを感じました。 食肉産業に関わる人に差別があるという事実を認めた上で「ではなぜ」という方向に著者の想像力の欠如(少々厳しい言い方ですが)のために筆が進んでいない印象です。 差別はあるのか→ない→ないのは当然だよね という考えか、差別はあるのか→ある→なんでだかさっぱりわからない という二極化でしか意見が見られず、そんなことならなぜ差別を扱うのだ(出版社の意向もあるのでしょうが)という気にすらなります。 厳しい言葉で言ってしまえば、現場へ行き、その様子をレポートすること以上に頭が回っていないような気がします。 それだけを目当てに買うのならば十分ですが、差別問題についてきちんと考えようと言う向きにはお勧めできないです。 結局この人が書いている差別への問題は、方向が違うだけで同じ差別のように私には感じます。 日本の食肉に関する差別は言語道断ですから、まだいいのですが、「犬の肉を食う」というような微妙な問題に関しては論の詰めが甘すぎです。 それを 「ウチザワは平気」 という一言で片付け、しかも、それを間違いのないものだと信じきって書いているのには少々閉口します。 そこ抜きで屠畜に関するルポとしてだけ読むならおすすめかと思います。 (追記) あるきっかけでアメリカのPublic Domain扱い(著作権がフリーになっているもの)の産業映画を見る機会がありました。ここで具体的にURLを挙げるのはサイトの性格上まずいと思いますので控えますが、どなたでも簡単にweb上で検索の上、見ることができる性質のものです(Universal Access to Human Knowledgeでご検索ください)。 その中にあった食肉加工に関するある企業のフィルムのキャプションに"one of the most disturbing films〜"(もっとも避けられがちなフィルムの中の一つ、くらいの意味でしょうか)という記述がありました。見た人のコメントもこの内澤氏の本を読んだだけでは予想だにしないコメントが並んでいます。 そこには日本や韓国でいうところの差別とは違った 何かの「畏怖」があるように見えます。そこには当然キリスト教といった日本とは違った価値観があるので、一口に説明は難しい性質のものですが、一ついえるのはどうもこの本の取材はとても私が思っている以上に一面的かつ独善的なのではないのか、という点です。 この本だけ読んだ人にはアメリカ人の多くの人が食肉産業に「抵抗」がある(差別ではない)というのは読み取りづらい気がします。
104 人中、89人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自腹取材のたまもの!,
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レビュー対象商品: 世界屠畜紀行 (単行本)
『部落解放』のようなマイナー誌に連載されていたからなのか、著者自身の興味が高じて持ち込み企画として始まったのでかは分からぬが、旅費も出ない自腹取材の集大成としての本書は、(著者の努力とコストを正当に評価する為にも)多くの人に読んで欲しいと思える良書だ。
同類書の鎌田慧著『ドキュメント屠場』よりも、イラストが多用されている分イメージの湧かない人にとっても分かりやすく読めると思う。 『世界』と銘打ってはいるものの10カ国程度で、1番詳しく書かれているのは東京であったりもするが、肉・ホルモンのみならず、皮のなめし・各国の祭事や差別、捌かれる動物も犬やラクダまで幅広く、最後には自身が風呂場でキジ・小鴨の羽をむしる体験をする。 都会に住んでいると、自分で食う動物を飼うことも屠る事もなく、命と食のつながりも分断されてしまっているが、植物を含めた多くの生物が生命を絶って我々に食を提供してくれているという根本的な事を、読後考えさせられる書であった。
47 人中、40人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
著者だけが残念,
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レビュー対象商品: 世界屠畜紀行 (単行本)
世界各国の屠場、屠殺の実際、屠畜業者のものの考え方や社会的立場といった
ことについて広汎に取材しており、その情報量、資料的価値は素晴らしいの一言。 イラストも素朴だがわかりやすく描かれている。 しかし、それらを台無しにしているのが著者の文章で、「みんな嫌がるがウチザワは 平気」「どうして嫌がるのかウチザワにはわからない」といった道徳的揶揄とも 自己アピールともつかない文言がいたる所に顔を出し、読後感を損なうこと おびただしい。屠畜業者に対する差別などにも触れているのだが、「なぜ差別 するのか理解できない」というスタンスから一歩も動かないので、一面的で平板な ものにしかなっていない。 同じテーマで別の人が書いていれば、またはせめて著者が資料だけ用意して別の ライターが書き下ろしていれば、と思わずにいられない。
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