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株価については99年2月のゼロ金利政策以降一定の回復が見られるものの,これらの状況は基本的に今も変わっていない。ことに深刻なのはこうした状況をめぐる議論の中で,言葉の潔癖さが失われていることである。本書は1929年に端を発した世界大恐慌の経験を米国を中心にたどりつつ,現在われわれが直面している閉塞的状況を打開する鍵を探ろうとする。
著者・秋元英一氏は長年にわたり大恐慌期の米国経済史を研究してきた経済学者。だがこの本にはアカデミズムにありがちな難解な専門用語や数式は一切出て来ない。その代わりに著者は当時の新聞記事やエピソードなど豊富な史料を駆使して,庶民の目に映った大恐慌期の米国を生き生きと再現する。この描写力が今日の日本と当時の米国のあいだにある国情の違いや時代のへだたりを超えて,読者を「この史実から何を学ぶべきか」「われわれの議論に欠落しているものは何か」という考察に向かわせる。
学生時代に受けた経済学の講義に退屈した読者の中には,経済学とはこんなに刺激的で面白い学問だったのかと驚く人もあろう。本書の中身を推察するのに役立つと思われる目次の大項目を以下に紹介しておく。
プロローグ/大恐慌はくりかえされるか,第1章/暗黒の木曜日,第2章/市民たちの大恐慌,第3章/市場崩壊のメカニズム,第4章/ニューディールの景気刺激策,第5章/ケインズ理論への道,エピローグ/1929年のアメリカと平成不況下の日本。 (フリーライター 池山 栄一)
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