テレビシリーズ『あらいぐまラスカル』の最大の魅力は、最終回の余情にあると思う。
ラスカルと過ごした一年間を、スターリングが感慨をもって振り返る回想シーンが良い。母の死、姉の結婚、父の事業の失敗という人生の一大事ばかりでなく、日常のほんの些細な出来事までが、何物にも代え難い大切な思い出となって胸に迫ってくる、その深い余情が素晴らしいのである。
私は、森に返されたあとのラスカルが(たぶんもうスターリングのことを忘れて)月明りの下を雌のアライグマと一緒に仲良く走るシーン、空撮のように二匹の影を遠く追う、テレビ版で見たごく短いシーンがとても好きだ。そして、住み慣れた町に別れを告げるスターリングの最後のナレーションも、しみじみと味わい深かった。
ところが――。この「完結版」は、ラストが唐突に終わる。スターリングがラスカルを岸に残し、振り向かずにカヌーを漕ぎ出したところで終わってしまう。そこが少し残念というか、終幕の名残を惜しむ間もなくプツンと切られたようなショックを受けた。
しかし考えてみると、それこそがこの「完結版」のねらいだったのかもしれない。スターリングがラスカルへの思いを振り切ろうとする固い決意を、そのままDVD鑑賞者に伝えたかったのかもしれない。断絶によって喪失感を印象づける“編集の妙”というものだろう、そう思った。